2022年4月30日土曜日

行ってらっしゃい、Taro~~~~!!!!!

こんにちは。スタッフのNanaoです。

BASKING COFFEEの爽やか担当、Taroが今月末で休職に入ります。

実は広島店店長のTatsuyaさんよりも長く千早に勤め、およそ4年間千早店を盛り上げてくれました。

Taroには「お店をやりたい」という目標があり、その為の経験としてワーキングホリデイに行くことを以前より計画していました。

コロナの影響があり、当初の計画の日程を延期せざるを得ず、この度ようやっとビザの申請が降り、晴れて旅立つことが決定しました。

わたしにとっても精神的支柱のような存在であり、彼のポジティブさに何度も助けられたため、とても寂しく思いますが、夢のために踏み出す一歩を応援したいと思っています。


皆様にはハガキや店頭で彼の門出についてお知らせをしており、たくさんの方がTaroに会いに来てくれました。

本当に愛されているやつですね。

今回のブログではTaroに改めて今回の旅立ちについて尋ねてみました。

なかなかお店に行けない。せっかく来たのにTaro休みだった!
なんてお声もいただきましたので、ここでTaroの思いを是非読んであげてくださいね。

































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1.ワーキングホリデイに行こうと決めた理由は何でしょうか。


海外の国で長期で働き、暮らすという経験がしたかったからです。

今までも色々な国に旅をしてきましたが、長期で滞在した経験はカナダのみだったので、また異国での生活を体験したいと思いました。



2.オーストラリアのパースはどんな街ですか?奥さんと二人で行くということですがどのように過ごす予定でしょうか?


西側の州都で気候が穏やかだと聞いています。お給料も他の州より高めなんです。

今まで通り働き詰めの毎日を過ごす予定です!
少しでもお金を貯めて帰国後の開業資金に充てられたらと思っています。
時間とお金に余裕が出来たら、2人でオーストラリア横断をしてみたいですね。


3.オーストラリアでしたいことはたくさんあると思いますが、特にしてみたいことを3つ教えてください。


まずは、クラフトビールのブルワリーで働きたいです。
クラフトビール醸造の勉強と現地のビールシーンを体験したいと思います。
また、現地の方々と積極的に交流したいです。

オーストラリアの国民性や文化をより詳しく知りたいですし、英語力も伸ばしていきたいと思っています。
後は、帰国後に醸造所の設立に向け、お金をなるべく貯めたいです。



4.バスキングコーヒーで過ごした約4年間はどうでしたか? 


毎日楽しく過ごせた4年間だったと思います。

働く前は少なかったコーヒーの知識もたくさん吸収できましたし、いつも新しい気づきがあり、コーヒーの魅力にどんどんハマっていきました。
お客さんとの出会いや会話も楽しく、人としての成長も大きかったと思います。

教わった事や企業理念はこれからの僕の人生のバイブルです。


5.帰国後はどんなお店を作りたいですか?


コーヒーとビールを専門的に扱うお店を山口県で開きたいです。
実はお店のスローガンはもう考えています。

「Part of daily」

生活の一部に欠かせない存在にしたいという思いから考えつきました。
バスキングの各店舗で体現されている様な地域に必要なお店にしたいです。


6.
最後にお客さんにメッセージをどうぞ!


お会いした全ての方々のおかげで今の自分があります。
本当にありがとうございました!
今度とも私もBASKING COFFEEも成長し続けます。
動向を見守っていただけると嬉しいです。

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夫婦2人で旅に出るなんて素敵ですよね。

帰国後は醸造所も作る予定だそうで、私たちもどんなお店を作るのかとても楽しみです。

オーストラリアの国でもTaroらしくみんなに元気を与えてくれることでしょう。

Taro、気をつけて行ってらっしゃい!!!





2022年4月1日金曜日

コーヒーの旅【グァテマラ編4】

エル・インヘルト農園には3日間滞在した。 

本当に密度の濃い時間だった。 
品種のこと、コーヒーの木のこと、生産処理、生豆の保管方法など、それまで頭でしか理解していなかったことを、体験的に学ぶことができた。

まだお店を構えてもいなかった僕に、つきっきりでコーヒーの生産の現場を包み隠さず見せくれたアルトゥーロさんには感謝しかない。

エル・インヘルト農園にて



話は変わって最近なぜか思い出すことがある。 

夜中に部屋の外で、日本から持ってきたギターをつま弾いていたら、別の宿舎から声が聞こえてきた。 
「おーい。俺たちの所でもっと聴かせてくれよ」 
振り向くと、農園で住み込みで働いている青年たちだった。
強そうなお酒を片手に、ニコニコしながら手招きしている。
彼らのもとへ行き、適当に弾き始めてみたら、青年たちは僕のギターに合わせてスペイン語で歌い始めた。 
他の寝ている仲間を配慮して、囁くみたいに。

お互いに言葉は全くわからなかったが、終始僕らは微笑んでいた。 

その夜は、無名の日本人の旅人と、若き労働者たちの静かな宴となった。






 ***

 エルインヘルト農園を後にした僕は、前に泊まっていたウエウエテナンゴのホテルに再び戻り、1週間ほど滞在した。

この辺りの他の農園も見ておきたいと思ったのだ。 
ホテルのオーナーが次々とコーヒー農園の知人を紹介してくれるので、僕は時間の許す限り、コーヒー農園を巡り続けた。 

たくさん農園を見ていくうちに、何となくではあるが、「コーヒーの木の栄養状態」や「生産処理場の清潔さ」、「農園主の話す内容」によって、そこで生み出されるコーヒーの品質もある程度は推測できるようになってきた。

 比較してみると、改めてエルインヘルト農園がずば抜けて優良な農園であることが解る。

たとえ環境が同じであっても、作り手の努力や姿勢がやはりコーヒーの品質に大きく寄与しているのだ。

 僕は長く滞在したウエウエテナンゴを離れ、引き続きコーヒー産地を目指して旅を続けた。


 【アカテナンゴ】 

アカテナンゴは、街の中を一通り見て回るのに一時間もかからないくらい小さな村だった。

街中にホテルは一軒しかなく、そのホテルはグァテマラに移住している初老のアメリカ人が経営していた。 
コーヒー農園を視察しに来た、と言うと、フレンドリーで親切なそのオーナーは知り合いの農園主を紹介してくれた。 (このような感じで、僕は知らない土地に来ても何故かコーヒー農園を訪問するきっかけを与えてもらった。幸運なことに。こんな成り行き任せでいいのだろうか、といつも自分でも思う)

 アカテナンゴには数日しかいなかったが、いい経験ができた。 
ある農園では、カッピングルームが併設されていて、そこでたまたまアメリカの有名なロースター「インテリジェンシア」のバイヤーと居合わせた。
僕と同じくらいの年齢の男だったが、相当なカッピングスキルを持っていた。 
一緒に焙煎したり、カップをコメントしあったりして、久しぶりに同業者に会えて刺激をもらえた。 

【アンティグア】 

アンティグアはコーヒー産地でも有名だが、 古都であり、観光地でもある。
パステルカラーに彩られた街並みは、散歩するだけでも楽しい。 

ここでも、たまたま街で知り合った北島三郎似のおじちゃんにコーヒー農園へ連れて行ってもらった。 

英語が全く通じないので、片言のスペイン語で何とかコミュニケーションをとった。

農園をひと通り見終えた後も、僕らは一緒に観光したり、夜の街を一緒にぶらついたりして過ごした。
全部僕の奢りではあった。 

北島三郎似のおじちゃん、いい人だったなぁ。最後まで何をしている人か全くわからないままだったけど・・・ 




グァテマラではおよそ10ほどの農園を視察できた。 

そこでわかったのは、コーヒー農園と言っても千差万別だということだ。 

エルインヘルトのように、大規模にハイクオリティコーヒーを産出する農園もあれば、 伝統的なやり方で、海外のバイヤーに会ったこともなく、国内消費用のコーヒーを作っている農園もあるし、 家の庭のコーヒーの木から一人で少量のコーヒーの実を手摘みして、家計の足しにしている「農園」というよりは「農家」というようなものまで。

どのような農園にも共通して言えるのは、そこで働く人たちの素朴さや温かさだと思う。

「日本から来ました。日本に帰ったらコーヒー屋をはじめます」というと、誰もが快く農園内を案内してくれ、ご飯をご馳走してくれさえした。

 そのような人たちに、時々こう尋ねられる。 
「私のコーヒー、いつか買いに来てくれる?」 
僕はその度に「約束はできません。でもそうできるようにがんばります」 
と後ろめたさを感じつつ、曖昧に答えていた。 

この人たちからコーヒーを買いたいな、とは思ってても、全ての人と取引はできないという現実をわかっていた。
だがらいつでもどこでも、自分の図々しさや無力さを感じずにはいられなかったし、何か行動を起こすということは何かしらの責任を背負うということを思い知らされていた。

 多くの農園と取引をする、ということは、それなりにお店を大きくしていかなければならない。
ビジネスという枠の中で自分ができることは何だろうか。
毎日のように僕は考えていた。 
《今の僕は、それについてのおおよその「答え」は出しているつもりだ。》

こういうふうに文章に書き起こすと、当時の記憶がよみがえってくる。
出来事だけでなく、その時の匂いや色や感情も。





続く