2017年2月20日月曜日

コスタリカ買付け出張・後編



農園を見たあとは、ロブレスさんのラボでカッピングセッションが行われる予定だったので、車でそっちへ移動。

このカッピングラボは、ロブレスさんが先行投資して建てたものだ。

一階は、ドライミルになっていて、(*ドライミル=乾燥を終えたコーヒー豆を持って来て、機械でサイズ別に選別したり脱穀したりするところ)二階にはサンプル焙煎、サンプルカッピングができる部屋があった。

ロブレスさんはそこのカッピングルームを開放していて、収穫時期には世界中のカッパーや、農園主たちが収穫された豆をサンプル焙煎し、カッピングをして、ディスカッションしたりしている。
ここに居合わせた農園主たちは、自分のコーヒーに対する意見をバイヤーから直接聞くことができる為、濃密なフィードバックが行われる。
こういったことが、地域全体のコーヒーの品質向上に繋がっているのだろう。

この日は「Nordic Aproach」というノルウェイのバイヤー達がサンプルカッピングしていて、一緒に参加させてもらうことになっていた。

サンプルの数は15。
もちろん全て収穫したばかりの、コスタリカ産の豆だ。
こういうカッピングは日本ではまずできない。

収穫したばかりだと、まだ味が落ち着いておらず、焙煎も小さなサンプル用なので、その辺りも差し引いてカッピングする。
純粋に「素材のポテンシャル」を見極めるカッピングだ。


緊張感もありつつ楽しい雰囲気のなか、カッピングをしながら、サンプルに対して意見を言い合う。違う国のカッパーの意見を聞くのもまた勉強になる


僕がなかなか良いなと思ったものの一つに、ロブレスさんのサンプルがあった。

残念ながら、このロットは既に売れてしまっていたが、ロブレスさんの農園にはまだこのロットよりも標高の高いところにある豆が残っているらしい。

まだ収穫を終えていないため、サンプルカッピングをすることはできないが、僕はそのロットを今回の買付けることに決めた。

農園から見渡せる風景



日が沈み、あたりも仄暗くなり始めた時間に、僕らはロブレスさんのもとへ行き(まだロブレスさんたちは仕事をしていた)、購入の意向を伝えた。

「あなたからコーヒー豆を買いたいです」

そう伝えると、ロブレスさんは嬉しそうな、子どもみたいな表情をした。

そしてぎゅっと力強い握手。

僕は、これから何かおもしろいことが起きそうな気がして、なぜだか笑い出してしまった。

隣にいた僕の友人は、このときの僕の即決ぶりに驚いていたと後で僕に話した。

「普通は一度帰国して、そのサンプルが届くのを待って、もう一度検討してからじゃないですか」

でも僕はロブレスさんと話をし、農園を見たときに、ほとんど心を決めていた。
正直に言うと、このサンプルカッピングは僕の中で確認のようなものだった。

まず、「人」なのだ。

「人」を見て、自分の直感に従う。
あとは、確認作業。

これは今回の買付けだけに関わらず、僕が何か大きなことを決めるときのスタイルなのだ。

まぁ間違うこともあるけれど(笑)。

「人」の次に農園を見て、手入れが行き届いていること、木が活き活きしていること、自然環境がいいことを確認したとき、90%は買うことを決めていた。

そして最終確認のカッピング。
Nordic Aproachの人たちも僕も、ロブレスさんのコーヒーにかなり高いスコアをつけていた。

もう、迷う要素はなかった。

***


夕飯は町の食堂で、またまたロブレスさんたちのごちそうになった。
少しお酒も入り、ランチの時以上に饒舌になるロブレスさん兄弟。

早口過ぎて何を言っているのか全くわからなかった。

別れ際にロブレスさん兄弟と握手をして「また会いましょう」と言い合った。

それにしても、この兄弟は全然似ていないなぁ・・・。


***



翌朝、僕たちはタラスを出て、アテナスという地区へ向かった。

この町にある公民館のような場所でカッピングセッションが行われるとの情報があったからだ。





アテナスという所は、コスタリカでも最も気候が良いと言われているだけあって、町歩きをするだけでも最高に気持ちが良い。

今回、僕たちの他にも日本人のバイヤーが来ることになっていたため、主催であるレオさんを始め、地元の人たちは最大限の歓迎をしてくれた。

コスタリカの伝統ダンス、豪勢な食事のおもてなし、国歌斉唱・・・となんだかお祭りのようだ。





カッピングのサンプル内容は、アテナス周辺の農園の豆。

レオさんが言うには、「これらの豆はトップクオリティとは言いがたく、これから品質を向上させていくための第一歩としての、今回のカッピング」らしい。

こういったカッピングも、日本ではなかなかできるチャンスはない。

1時間ほどカッピングをした後、レオさんからアテナスの農園事情や町の状況、これからの展望の話などを伺った。

僕にとって産地に来ることの意味とは、こういうところにもある。
生の情報がバンバン入ってくるのだ。

いわゆる、「1次情報」。

現代は2次情報や3次情報が溢れかえっていて、宙ぶらりんの情報に対して様々な憶測だとか、議論ばかりがなされているような気がしている。東北の震災のときもつくづく感じたことだ。

インターネットから得られる情報ももちろん大事だけど、「今、それが起こっている現場」に行くということを、僕はこれからも続けていきたい。


買付けには繋がらないカッピングだったれど、良い出会い、良い時間だった。

泊まっていたホテル

番外編に続く・・・



















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