とても刺激がある3日間でした。少しここに書き留めておきます。
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福岡からたったの2時間。
僕たちチームBASKINGの4人は、台湾空港に到着した。
台湾ってこんな近いのか・・・。なのに、今まで来たことなかったんだなぁ。
今回アテンドしてくれることになっている台湾の方々が迎えに来てくれた。
彼らはToshiの知り合いで、チチさん、アンさん、チアイーさん。
チチさんは台北にあるロースターのオーナーさんで、アンさんはチチさんのガールフレンドとのこと。チアイーさんは雑誌の編集者。
皆、なんだか雰囲気や仕草が日本人と似ている。
早速バンに乗り、一行は台南のやや北に位置する「嘉義市」へと向かった。
途中で僕らチームBASKINGがお腹が空いたため、お昼ご飯のためハイウェイを降り、台中にある「新竹」という街へ寄ってもらった。
ここのご当地料理であるライスヌードルなるものを食べることに。
お昼時というのもあって、僕らが入ったレストランは大にぎわいだった。
このレストラン、国内・外から観光客が訪れる有名店なのだそう。
初の本場台湾料理体験だったけれど、美味しいのはもちろん、とにかくお皿が次から次に出てくる(笑)。
僕は食べたことも見たこともないのが出てくると、とりあえず食べずにいられない性分なので、つい食べ過ぎてしまった。
一番右からチチさん、アンさん |
今回は農園視察より食べ歩きの旅になりそうだ・・。。
そのあと、僕のわがままで、「台中国家歌劇院(オペラハウス)」へ寄ってもらう。
日本人建築家の伊藤豊男雄氏が設計したそうで、近未来的なフォルムが愉しい。
屋上の高層マンションに囲まれた空中庭園も不思議と「緑」と「都市」がうまく融合していて、時代は「機能」から「官能」へと移行しつつあるんだなぁ、と感じた。
コーヒーを飲みに台中のコーヒーショップ「葉店」へ。
店内の雰囲気が、日本の喫茶店に近いなと思った。
気の優しそうな、でも珈琲にはこだわり強そうな店主がいて。
クラシック音楽が流れていて。
ここの店主の方は、先日福岡へ旅行に行っていたらしく、話も盛り上がった。
そして「もういいです」と言いたくなるほど次から次へとコーヒーを淹れてくれた。
お店を出ると、もう夕陽が道路に差し込んでいた。
市場で買い物をしている人や、バイクを走らせる人が、まるで夕暮れ時を待っていたかのように突然どこからか現れ、街はどんどん活気で満たされていった。
台湾ではスクーターに乗っている人がやたら多く、お母さんが運転するスクーターの後部席に3歳くらいの子が乗っていて、お母さんの背中にガシッとしがみついているその姿がたくましく見えた。
さらに車を走らせ、この日に宿泊する街「Chiayi」に着いた時には辺りはすでに真っ暗だった。
夕食の前に「秘氏珈琲(Secret Coffee)」というお店へお立ち寄り。
小津安二郎の映画「東京物語」にインスパイアされて設計された空間らしく、ノスタルジックで、畳もあり、タイムスリップしたような気分になる。
ここで、深煎りのドリップコーヒー、お酒、台湾茶を頂いた。
この後、ナイトマーケットをぶらついて、Toshiのリクエストである「Smart Fish」というものを夕食でごちそうになった。
魚の頭を丸揚げしたものと野菜や白みそなどを大きな鍋で煮込みまくった、旨味のつまった味だった。
お腹いっぱい・・・。台湾、ご飯美味しくて安くて最高だなぁ。
翌朝。
Taroが「I♡Taiwan」のシャツを着ていることに驚きを隠せない僕たちであったが、気を取り直し、コーヒー農園のある阿里山へと向かった。
急でくねくねした山道をどんどん登っていき、やがてコーヒー畑が眼下に望めるようになってきた。
景色の壮大さに、僕らの気分は高まっていく。
農園に着くと、農園主であるファンさんが彼の経営しているカフェへ案内してくれた。
ここで、しばらく休憩がてらファンさんの農園について、お話を伺った。
彼が作成した資料を見て驚いた。
細かな数値が月ごとに書かれた資料は、「どの栄養素を、どのタイミングで、どの品種に与えると吸収率がどれくらい高いのか」をあらわしている。
この作業を徹底的にやることで、無駄なく効果的に肥料を与え、木の生長を促すことができるのだそう。
また、沖縄と同じく台湾でも台風が農業に大きな影響を与えているのだけれど、ファンさんの農園では一本一本の木に鉄の棒をあて補強することで、影響を最小限にとどめているということだった。
お店を出て、トラックの荷台に乗り農園へ向かう。
茶畑とコーヒー畑が混在する台湾の農園風景は、見慣れた中米のそれとはまた違って新鮮で、どこか懐かしさを感じるものだった。
農園ではファンさんがゲイシャ種やブルボン種など、それぞれ丁寧に説明してくれた。
コーヒーチェリーを初めて食べるBASKINGの皆はテンション爆上がり。
ファンさん曰く、「木は剪定さえしっかりしていれば、歳をとればとるほど味は良くなるんです。加齢にともない根が伸びていくことでより多くの養分を吸収できるようになりますから。」
植物ってすごいよなぁと感心せずにいられない。
僕も歳をとればとるほど良い味出していきたいですね。
次は生産処理の現場を見せてもらう。
ファンさんが行っているプロセスはナチュラル、ウォッシュト、ハニー。
中米ではよく見かける精製機械だが、台湾ではなかなか手に入らないそうで、なんとDIYしているとのこと。輸入するととんでもなく高くなるらしい。
台湾は島なので、地形的に切り離されていて、しかも面積も小さい(=商業規模が小さい)というのは、そういった面でも世界のマーケットで不利になる。
さらに、台湾は雨も多いので、ファンさんは自然乾燥を全くせずに100%ドラム式のドライングマシンで乾燥行程を行っているとのこと。
ここでも、ファンさんはその不利な条件を逆手にとって、豆の状態に合わせてベストな乾燥パターンをデータ化・分析し、自然乾燥よりもクオリティの高い豆を仕上げることに成功した。
「エチオピアのように圧倒的にコーヒー栽培に適した環境があるわけでもない、中米のように最先端のテクニックや設備があるわけでもない。台湾産のコーヒーを選んでもらうために、科学的なアプローチによって他に負けないくらいの特徴を持ったフレーバーを作り出すしか、私たちには生き残る道がないのです。」
鋭い眼光を持ちながら、人懐っこい笑顔も時折見せるファンさんは、そんな風なことを僕たちに身振り手振りを交えて語ってくれた。
その後実際にカッピング。
ゲイシャ種のウォッシュト、ナチュラルなどが並ぶ中で、一番良かったのは意外にもティピカ種のウォッシュトだった。
後で聞いた所によると、このカップのティピカ種の木は22歳と最高齢。
なるほどー。さっきの農園での話を、身体で納得できた。
カッピングはディスカッションが大いに盛り上がり、気がつけばお昼の3時を過ぎていた。
ファンさんにお礼を言って、農園を後にした。
遅めの昼食を頂いたあと、(ビールも飲んだ)一行は台北へ。
中間地点の台中の街に着いたころには、辺りは真っ暗になっていた。
急いだ方がいいのかな?と思っていたら、ドライバーのティムが、「ビンロウやる?」と。
ビンロウとは、台湾ではどこでも売っている、噛みタバコみたいなもの。合法ではあるが、軽い陶酔感、覚醒作用があり、ティムは居眠り防止で、時々運転中に噛んでいるらしい。
もちろんやろうよ。と言っていたら、ティムが無駄のない動きでセクシーな格好したお姉さんからビンロウを買ってきた。
台湾では露出度の高い女性がビンロウを売っているというのを聞いたことはあったが、よく考えたら意味がよくわからない。
みんなで一気に口に入れてみる。
むっ!かなりまずい。
カメムシを食べているような気分になってきた。
しばらく噛んでみるけれど、結局、後になっても誰も何も変化を感じなかった。
ティムだけはやたらテンションが高くなっていたが。ちょっとだけイラッとした。
左:ティム 右:チアイー |
楽しいビンロウタイムにより、大幅に時間が押してしまい、台北に着いたのは夜の10時。
それでも街は賑やかで、都会に来たなと実感した。
ここでティム、チチ、アン、チアイーらとお別れ。
本当に彼らのお陰で、農園でも貴重な生の話が聞けたし、行く先々で美味しいご飯にもありつけた。充実しすぎたと言ってもいいくらいだ。本当にありがとう。
ホテルにチェックインし、僕らは達也さんの念願である台湾スイーツ「豆花(トウファ)」を求め、夜の街に繰り出した・・・(元気だな)
最終日。
14時までは飛行機の時間があったので、朝から街を探索。
朝ごはんは近くの食堂で豆乳のスープと小籠包を食べる。
地元の人も朝から小籠包食べていたのが意外だった。
「SIMPLE KAFFA」という、台湾でも有名なコーヒーショップへ。
広々とした店内で、洗練された空気感。
2Fにもカフェスペースがあり、贅沢な空間だ。
コーヒーを注文してしばらくするとオーナーさんがご家族でお見えになった。
ここのオーナーさんは2016年のWBC(ワールドバリスタチャンピオンシップ)で見事優勝を果たしている。
何やら、今からスタッフのブルーイングテストをやるから見ていきなよ的な雰囲気になり、僕たちは厚かましくも、折角の機会なのでのぞかせてもらうことに。
ブルーイングテストの内容は、6種類の異なる焙煎度合いのコーヒーを、3杯ずつ2回に分けて抽出するというもの。
制限時間内に、レシピ通りにこなし、適正にフレーバーを出せているかチェックされる。
焙煎度合いに応じたレシピがあり、1回の抽出で3パターンの温度の湯を使い分けていた。
オーナーさんの話によると、まず蒸らしは高温度で行うことでフレーバーとアロマを引き出し、次の少し低めの湯でボディ、最後はさらに低めの湯でアフターと甘さを調整するということだった。
見ている方ですらどれがどれだかわからなくなるような複雑な作業を淡々とこなしていて、出来上がったカップも飲ませてもらったけれど、美味しかった。
滅多にない機会に立ち会えてよかった。
いやー、今回の旅、いろいろ巡り合わせが良い!
もう少し時間があったので、達也さんのリクエスト、本屋とコーヒーショップが一緒になった「Pon Ding」へ。
そんでその後はタロウが調べてくれたクラフトビールの「61note」。
それからチチさんの経営する「AURA珈琲」へ行き、アンとチアイーもいたので時間ぎりぎりまで皆と話しながらコーヒーを飲んだ。
お店は忙しそうだったけれど最後まで僕らを気にかけてくれ、おもてなししてくれる3人。
彼らが日本へ来たときは色々案内したいな。
「AURA珈琲」を後にし、タクシーで空港へ向いながら、僕たち4人は今回の旅について口々に語った。
2泊3日と短い期間だったけれど、行きたいところも行けて、皆満足そうだった。
台湾ありがと!
本当、近くてびっくり。
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