2023年11月16日木曜日

コスタリカの母とブラザーが来日。

コスタリカの母・和子さんと息子の和臣が来日し、千早店に遊びに来てくれました。


和子さんのことは、過去のブログを読んでくれた方はご存知かと思います。


和子さんとは僕が初めてコスタリカを訪問した時にたまたま街で知り合い、そのまま1ヶ月くらい彼女の家に居候させてもらいました。


当店で販売しているコスタリカの「ロスロブレス農園」の農園主レオさんを繋げてくれたのも、彼女でした。


そして彼女の息子である和臣は、今に至るまで現地で僕が動きやすいようにドライバーをアレンジしたり、コーヒー豆の輸出に関する業務をこなしてくれています。


もう10年以上の付き合いです。家族のような存在。


和子さんはコスタリカに住んでいるので、今でもコスタリカに行った時に会っていましたが、

和臣は今はノルウェイに住んでいるので、彼と

会うのは4年ぶりになります。


和臣は母が日本人、父がコスタリカ人で、日本の映画や音楽に触れて育ってきたわけですが、

日本に来るのは今回が初めて。


どんな心境になるのだろう。少なくとも日本で

育った日本人の僕とは全く違う日本が見えているのだろうな。


今回は2人で日本の友人を訪ねて旅をしているのだそう。

徳島のあと、福岡に来てくれました。


彼らにBASKING のお店を見せることができて、お客さんにも紹介できて、本当良かった。


来てくれてありがとう!


このあとは糸島へ行き、沖縄へ行くそうです。

特にはっきりした計画もない、行き当たりばったりの旅のようですが。


引き続き日本の旅を楽しんでほしいです。


過去の和子さんが登場する話












2023年10月3日火曜日

価格改定のお知らせ

いつもBASKING COFFEEをご利用くださり誠にありがとうございます。


皆様には大変心苦しいお知らせになりますが、2023111日より、以下の商品の価格を改定させて頂きます。


【コーヒー豆】

BLEND スピカ 

BLEND Daylight

BLEND ミシェル

Costa Rica 

Brazil

それぞれ100g/100円の値上げとなります。


【ドリンク】

カプチーノ、カフェラテなど本日のコーヒーをのぞくドリンク全種

50円の値上げとなります。


私たちBASKING COFFEEの理念として、「お客様に品質の高いコーヒーを日常的に飲んで頂きたい」との思いがあります。


物価上昇が始まってからも、「何とかならないか」と生産性を上げることで販売価格の維持に努めてきました。


しかしながら、昨今のさらなる「国内の物価上昇による諸経費の高騰」「長引く円安による生豆の高騰」に、これ以上の価格維持は経営を続けていく上で非常に困難と判断いたしました。

お客様には大変申し訳ない報告となり、一同断腸の思いです。


 後はコーヒーの生豆の選定、焙煎、その他品質管理の向上に全身全霊で取り組み、価格以上の価値を持った商品を提供していく積もりでございます。

今後とも、変わらぬご愛顧を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。


BASKING COFFEE 一同

2023年9月25日月曜日

コーヒーの旅【コスタリカ編2】

 〜こちらの旅日記は店主エノハラがBASKING COFFEEを開業する前に産地を旅した2013年の頃のお話です〜 

前回までのあらすじ 


サンホセからやや北西に位置する、コロナドという町に和子の家はあった。


観光客など一人もいないような、教会が町の中心にある田舎町だ。

外観の印象とは違って、和子の家の中はどことなく日本の家屋を思わせる雰囲気があった。キッチンの奥から漬物のような、懐かしい匂いがほんのり漂う。


家の中には、サンホセのマーケットに和子と一緒だった若い女の人がいた。

「ヤシ子ちゃんはあなたと同じくらいよ」

とキッチンから和子が言った。

私の娘。あと息子がいるのだけど、今大学に行っているの、私たちこの家で何でも自分たちで作るのよ、味噌やパンやお漬物とか、畑もすぐ近くにあるのよ、そうだ、今度あんたにも見せてあげるよ。その畑はね・・・


和子はノンストップで喋り続けている。

久しぶりに日本語を聞いた、と僕は思った。

日本語の響きはやっぱり落ち着くなと思う。海外から帰ってきて飲む味噌汁のようだ。懐かしく、安心感がある。

ヤシ子ちゃんは、和子の料理の支度の手伝いをテキパキとこなしながら、覚えたばかりの日本語で僕に話しかけてくる。

2人とも本当におしゃべりで、ことあるごとにケタケタと笑い転げる。僕もつられて大笑いしてしまう。

そうこうしているうちにテーブルにご馳走が並んだ。採れたばかりの野菜。手前味噌。自宅で作ったビール。

僕は遠慮など全くせずに食べまくった。美味しかった。美味しすぎた。

和子たちの話し声が遠のいていく。僕はぶっ倒れるように眠りについた。


---翌朝、熱をだしてしまった。めったにないことだが、どうやら体調を崩してしまったらしい。まぁ、和子の言うように、ろくなものを食べていなかった。


和子がドア越しに心配そうに声をかけてきた。


「あんた、多分さ、安心したんだよ。ずっとろくなもの食べずに、長く旅してさ。それで張り詰めていた糸がぷつんと切れたんじゃない。

しばらくこの家で休んでいきなさい。」


僕はうつらうつら返事をし、ふたたび深く眠った。


体調が戻ったのは3日後だった。


和子が部屋のドアを開けこう言い放った。


「さあ、起きなさい。畑を耕して、体力を取り戻すのよ。それと・・・」


和子は続ける。

「あたし達の友達にコーヒー農園やっている人がいるから、今度一緒に行こう。」


翌朝、和子の自慢の畑の手伝いをして、午後から僕たちはコーヒー農園のあるタラスというエリアまで車を走らせた。






コスタリカの気候は素晴らしい。気温は一年を通して日本の春のようで、湿度も低いので窓から入ってくる乾いた風が気持ち良かった。

「中米のスイス」といわれるほど美しい緑に恵まれた山々。その中を車で走り抜けるのは、この 初めてのドライブ以降、コスタリカに来た時の僕の楽しみとなった。


3時間ほどで、目的の農園に到着。

たくさんの子どもと、お父さんが迎えに来てくれた。


「ようこそ。遠くからよく来たね」


お父さんのホセと挨拶を交わした。

家のお庭がコーヒー農園になっているようで、早速案内してくれた。


和子が、「ホセはね、ビオディナミコの実践者なのよ」と歩きながら僕に言った。


ビオディナミコ【Bio Dynamic】とは、農薬・化学肥料を使わないだけでなく、種を蒔く日も収穫する日も天体運行によって決まる生命、生物(Bio)を統御する力学 (Dynamic)原理に従って行う農法のことだ。

ワイン作りにおいては珍しくないものの、コーヒーの世界ではまだまだ少数派だ。


庭に到着してあっと驚いた

そこにはイメージしていたコーヒー農園とは全く違った風景が広がっていたのだ。

荒々しく、野生的で多様な植物が生い茂り、植物に絡み付く霧がどこか厳かな雰囲気を醸し出していた。

僕は、まるで自分が原生林の奥深くに迷い込んだような錯覚に陥っていた。

ホセがふと歩みを止め、こちらに振り返る。


「ここで最高のコーヒーを作っているんだ」


スペイン語訛りの英語で、彼は少年のような笑顔で言った。 





---結論から言うと、この時、ホセからコーヒー豆は買うことは出来なかった。


理由として、一つは、「収穫量が少なすぎてプロダクト化が難しい」ということ。

もう一つは、全ての作業をホセ1人が手作業でやっているため、「コストがかかりすぎて値段が相場の3倍くらいになってしまった」からだ。


僕としては、たとえそれがどんなに良いコーヒーだったとしても、ある程度の量が確保できなければ長期的なビジネスとして成り立たないと判断し、最終的にホセとはパートナーシップは結ばないという結論に至った。


非常に残念だったけれど、とても勉強になった。そして、この時コーヒーを本気でビジネスにするために自分の思考が動いていることに気がついた。


この先、コスタリカへたくさん豆を買いに来ることができるようになって、また僕とホセを引き合わせる力学が働いたなら、彼からコーヒーを買ってみようじゃないか。





続く









2023年6月9日金曜日

焙煎とカッピングの無限ループと言う作業の中に、BASKING COFFEEの個性の出どころがある。

焙煎はほぼ毎日しています。

焙煎したら、カッピング。

カッピングとは、その豆が持つポテンシャルをちゃんと引き出せているかをテイスティングして確認する作業です。

まだ引き出せる余地があるなら、焙煎のレシピの手直しをして、次の焙煎で実行します。

これの無限ループ。


また、レシピは固定されるものではなく、実際には気温や湿度、その他諸々の条件が毎回異なるので、感覚を頼りに微妙に調整しながら焼いていきます。"微妙"とは何秒、とかの話です。


焙煎は地味な作業です。


そして、この「地味な作業」の積み重ねが、「良い商品」を作る上で欠かせない要素あると僕は思います。それが何の商売であろうと。その作業過程に、それぞれのお店の個性が生まれ出る。


なんか当たり前の話になってしまいましたね()


地味な作業、積み重ねていこう。









2023年5月4日木曜日

BASKING COFFEEの店舗展開について

BASKING COFFEEは現在、千早店、広島宇品店、春日原店の3店舗を構えています。


そのうちのいくつかの店舗に行かれた方は、同じBASKING COFFEEでもそれぞれの店舗に違った個性や雰囲気を感じられたかも知れません。


各店舗によって内装、ブレンドの種類、パッケージデザイン、ドリンクメニューは、実際それぞれ違っていて、チェーン店のような統一感はあまりないと思います。


このやり方は、生産性を最大化するという意味ではあまりいい方法ではないように思えますよね。ブランディングや規模の経済によって得られるはずのメリットをかなり失うことになるので。


では、なぜこのようなやり方で店舗展開を行うのか?


まず第一に、「BASKING COFFEEで働く人たちが仕事を楽しめ、能力を発揮できる環境を作りたい」というのがあります。


トップダウンで指示が与えられ、マニュアル通りに作業をこなすようになってしまったら、その人の本来持っている能力も限られてしまいます。


自分で考え、創意工夫する余地がある。

自分のアイデアや意見が(チームメンバーが納得できれば)お店に取り入れられるという感覚がある。

その方が、お客様から喜ばれた時嬉しいし、自分の仕事に誇りを持てる。

という風に考えるからです。


もちろん、これは自分で考えたくない人にとってはつらい環境かもしれません。「常に自分で考えて行動する」というのは、ある種の人には酷な事でもあるので


第二に、コーヒー屋をやる上で、そもそも僕はファストフード店やコンビニのような画一的コピペ店舗展開などをやることに価値を見出していません。


それよりも、各地域で、それの対極のものを創っていきたい。具体的には、

「お客さんや自分たちがわくわくできる、独創的でおもしろいお店」を創りたい。

(もちろんコーヒーの味を追求していくことは大前提です。)


そのためには、やはりこれも「自分たちで考えて改善していける人たちの集まり=自立分散型」の経営体制を築くことが大事だと考えています。


だからと言ってもちろん全てを受容するわけではありません。

過度な自由は時に無秩序を引き起こす原因になりえます。よかれと思ってやったことが、誰かを悲しませる結果になることは往々にしてある。


どこに境界線があるのか。

それをチーム全員が理解しておくために、BASKING COFFEEには以前書いた通り「理念」や目指す場所つまり「ゴール」を明文化し共有しています。

BASKING COFFEEの理念、哲学



そこの軸がブレなければ、トップダウンで人々を「管理」しなくても、各人や各店舗は楽しみながら自律的に改善し続けるはずで、それでいてなお「BASKINGらしさ」が核として残るということが可能だと信じています。


樹木で喩えるなら、根っこ(理念)と幹(人間性)の部分がしっかりしていれば、枝葉(個々が自由に振る舞うこと)の部分は、多彩であった方が美しい。ということです。


今後、お店が増えることがあって「BASKINGらしさ」と「そのお店・人の個性」のバランスを取ることを大切に、経営していきたいと思っています。



過去のBASKINGの哲学シリーズ

BASKINGが大切にしている3つのこと

店主の仕事観