今回から数回に渡って僕の過去の旅日記を書いていこうと思います。
内容は、店頭でコーヒー豆を購入された方にお渡ししている「店主コラム」から抜粋し、まとめたものになります。
お暇な時間にでものぞいてもらえたら。
「まえがき」
僕は開業前にコーヒー産地と北欧を旅しました。
それはとても刺激的で濃密な毎日で、今でもわりと簡単に当時の記憶をたぐり寄せることができます。
旅した国はグァテマラ、USA、コスタリカ、コロンビア、ニカラグア、フランス、オランダ、デンマーク、スウェーデン、ノルウェー。
コーヒーに出会う前によくやっていた気ままな放浪の旅ではなく、「コーヒー」をテーマの中心に据えた、目的のある旅。
今思うと、この旅が僕のそれまでの人生とこれからの人生の、大きな区切りとなる期間だったように思います。
では最初の国、グァテマラからスタートです。
「日本出発」
それまで勤めていたコーヒー店を退職した僕は、開業前にどうしてもやっておきたいことがあった。
それは、
「産地を訪問し、どんな人が、どんなところで、どういう風にコーヒーを育てているのか、この眼で見、体験する」
ということ。
この想いはコーヒー屋で働き始めた時からずっとあって、時間が経つにつれて、それは抑えきれないくらいまで自分の中で膨らんでいた。
けれど、当時はコーヒー産地に行っている人が周りにほとんどいなかったため、伝がまったくない状態。
とりあえず、僕はインターネットで有名な農園主のメールアドレスを調べて、
「あなたの農園を見せてください」と、熱い思いを文章に込めて片っ端からメールを送りつけた。
コーヒー産地というのは中南米が主なので、文章はスペイン語で書かなければならない。
当時の僕はスペイン語が全く分からなかったから、自分で日本語で文章を書いたものをスペイン語が得意な友人に翻訳してもらった。
ほとんど返信はなかったが、その中で一人だけ返事をくれた人がいた。
その人は【エル・インヘルト農園】の農園主アルトゥーロさん。
【エル・インヘルト農園】は、コーヒーの品評会で何度も優勝している“超”がつくほどの優良農園だ。
そんな農園の方から返事がかえってくるなんて思ってもみなかった僕は震えた。
そのメールには、「いつ来るの?○日〜○日だったら、農園にいるから、どうぞ見に来てください。」と優しく書かれていた。
興奮した僕は、すぐにグァテマラ行きの航空券を購入した。
「やった。ついにコーヒー農園をこの眼で見れるんだ。しかも、あの有名なエル・インヘルト農園を!!」
まさに目の前に天空から一本のひもが下ろされたような気分だった。
これを昇って、道を開いてやるぞ。
そんな野心をともなった高揚感に僕はしばらくの間浸っていた。
また、アルトゥーロさんのメールにはこうも書かれていた。
「君のスペイン語は素晴らしい!会って話ができるのが楽しみだ。」
これ、僕じゃないんだけどなぁ。このひと勘違いしてるなぁ。
・・・まあでも、どの道スペイン語も勉強しなくてはな。
そう思った僕は、アルトゥーロさんと会う予定の日の1週間前にグァテマラに行き、スペイン語のレッスンを受けることに決めた。
0 件のコメント:
新しいコメントは書き込めません。